中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第243回
まぁ、たかられるわ、たかられるわ 3

今回は『中国料理』の番外編、最終回です。

前回、開店後3ヶ月程が過ぎ
店が評判になり
お客様で溢れるようになったある夏の夜、
突然停電が起こったところまでお話ししました。
今回はその続きです。

突然の停電で大騒ぎになる店内、
中国では日本のようにブレーカーを入れ直して
「ハイ、元通り」とはいきません。
いくら原因を探っても、停電の理由は全く分りません。
次の日も次の日も私のお店に
「電気さん」はやって来ませんでした。

中国には関西電気保安協会みたいな機関がなかったので、
役所に調べて貰いますが
「その地区は通常通り送電されている」
の返事だけで埒があきません。

そうこうしているうちに、
私のお店の大家である政府機関の庶務管理者が
お店にふら〜っと現れました。

彼は「お店繁盛してまんな〜、結構な事で・・」と言いつつ、
「私の上司はこの機関で一番の顔役ですが、
今度引越しをされるのです。
私は引越し祝いを贈ろうと思っているのですが、
何が良いのか見当も付きません。
彼はお金持ちですから、
家具のセットか高級テレビが良いのでしょうね・・」
とだけ言い残して去って行きました。

この話を聞き、私の合弁相手の中国人は
停電事件の『ことの全て』を一瞬で察知しました。
つまり、こういう事です。

私の店の地主である政府機関の庶務管理者は、
自分の立場を強固なものにする為に
常に直属の上司に取り入る必要があった。

そんな上司が引越しする事となり、
何か高価なお祝いを贈る必要が出た。
でも、自分にはお金はない。
何か良い方法はないかと考えた。

そういえば、
敷地の一部を貸しているレストランが繁盛しているな。
電気は大家経由でお店に送っているから、
止めるのは簡単だ。止めてやれ。
さすがに直接「お金を出せ」とは言えないな。

それで彼は、世間話のように
「上司が引越しするんですよね〜」
的な会話を残していったという訳です。

で、その後どのように対処したかと言うと、
私の合弁相手の中国人はその足でその上司を誘い
家具店へ直行しました。
本人の好みをちゃんと確かめたのです。
勿論、その日は買いません。

後日、違う家具店で
ベット・ソファー・タンスの8点セット7500元を買い求め、
自分の会社のワゴンで上司様の新居へ運び込みました。

その類の事件が日常的に起こる訳ですから、
そりゃ「レストランに大切なものは、料理だ!サービスだ!」
なんて言ってられませんよね。

 
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2009年4月29日(水)

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