中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第244回
古陶磁器はタイムマシーン(1)

私が感じる古陶磁器の魅力の半分は、
当時の人がどのような思いでこれを作り、
また使用していたかという事を思い描きながら
作品を見る事によって湧き出してくるものです。

見て単に素晴らしい作品なら現代陶芸にもある訳ですし、
例えば中国で言えばまだ古陶磁器と呼べないような
清時代の官窯作品などの精巧で緻密な作品も素晴らしい訳です。

でも、世界中の多くの人は
もっともっと昔の作品に魅力を感じます。

やはり、1000年以上前、
中国の時代で言えば
宋時代〜唐時代の頃の作品に人気は集中します。
その一つの理由として、
古陶磁器は現実として1000年前の人が作り、
そして使ったという事実を
その作品を通して垣間見ているからではないでしょうか?

そういう意味で言えば、
古陶磁器は正に過去に遡れる「タイムマシーン」です。

遺された古陶磁器を見るだけで
1000年以上前の人の生活や思想や
当時の情景などがほんの少し見えてくる気になったりします。

今回はそんな作品を取り上げてみました。

紹介する作品は全て「越州窯」という窯場で焼かれたものです。
この「越州窯」は古く東漢時代から宋時代まで
1000年以上も活動し続け、
中国一多くの焼き物を焼いた窯場でありました。

ですので、この「越州窯」の作品を追えば、
古代の中国人に関する情報が色々と手に入ります。

多くの現代人は古代の人の生活を「色褪せたモノクロの世界」
そして「全てが現代に劣り、つまらなく単純な世界」
だと認識しがちですが、私は決してそうは思いません。

電気もテレビも車もなかった世界、そういう世界だったからこそ、
想像力や創造力は現代人よりも
遥かに素晴らしかったと私は感じております。

そのような感性が古陶磁器を見るだけでも
充分伝わってくるのです。

このような壷は明器として死者と共に埋められた。
家畜、楽器を奏でる人、豪華な装飾品、食べ物、穀物、
そして豪邸などがくっつけられている。
あの世に行っても不自由しないように、
家族が祈って葬ったのだろう。

これも明器として死者と共に埋葬された品。
竈(かまど)のミニチュアだが、
当時の人の生活ぶりが手に取るように分る作品である。

 
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2009年5月1日(金)

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