中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第246回
ハイハイ天さん、天さんデス

○今回の依頼者
[ペンネーム] すーさん
[お住まい] 中国・台湾駐在歴 10年
[趣味] 中国古陶磁器鑑賞・収集歴 9年

○依頼文

天青庵ブログをたのしく拝見しています。
鑑定依頼の品は、9年前、
親しい知人経由で北京古玩城で購入しました。

色物はそれほど関心がないのですがこれだけは反射的に
買ってしまいました。
値段は当時でも○十万円したと記憶しています。
贋物ではないとおもっておりますが、
嘉慶年製でしょうか?
一対ものです。鑑定よろしくおねがいします。

口径:12.3cm 高さ:5.6cm

○鑑定結果

ここ数回連続「清朝官窯品」の鑑定依頼が来ています。
清朝官窯作品の依頼が多い理由は、
とにかく中国製の陶磁器の裏にはなんでもかんでも
皇帝の年号が書かれているからだと思います。

真性の本物は別としても、
その皇帝の年号の銘款入りの作品にもピンからキリまであります。
最高のものは過去の官窯作品を後代の官窯が模して焼いたもの、
最低のものはその辺のお土産品です。

例えば、倣品(過去のものを模倣した作品)の中でも、
後の官窯が模倣した作品には、
それこそ何百万という価格がつく場合もあります。

また、清朝の後期から民国時代の初期に
景徳鎮の民間窯で官窯に
勝るとも劣らないような精品が焼かれていますが、
それも大変高い評価を得ています。

その他にも、近代になって景徳鎮の中でも
技術力の高い陶工が
清時代の作品を模した作品を焼き続けています。

また完全にお土産品として大量生産されたものもあります。
それらの作品の裏にも
「大清乾隆年製」などの官窯名が書かれてありますが、
特にニセモノとしてではなく
普通に工芸品として売られています。

依頼品は写真の写りが鮮明でないので断言はできませんが、
やはり後世の倣品だと思います。

普通の官窯粉彩ではあまり見かけない図柄で、
一見現代的な雰囲気がしますが、
このような雰囲気の作品は嘉慶官窯でも焼かれています。

私が官窯品だと思えない点は、
一つは基本の白磁碗に官窯独特の高貴さが感じられず、
少し安っぽい感じがする事です。

ぼてっとしてシャープさがない上に、
釉薬にも精錬度が足りないような気がします。

ただし、実際に手にとっていないので
これはあくまでも画像からの印象です。

もう一つは、「銘款」です。
やはり、依頼品には官窯の精巧さがなく
雑な感じが否めません。

依頼品
綺麗に描かれていて、図柄も素敵だが・・・

同じようなスタイルで描写された嘉慶官窯品
ただし、白磁の器自体にキレがある。

依頼品の銘款
本物の嘉慶官窯の銘款


○結論

北京古玩城には私も通い続けていましたが、
何十軒の店の中で本物を売っている店は
2、3軒しかありませんでした。

その中でも唯一全て本物の店がありましたが、
経営者は日本人の方でした。

 
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2009年5月6日(水)

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