第258回
中国料理
今回も「中国古陶磁器に盛って映える料理」
略して、中国料理のコーナーのです。
今回のアイテムは「炸醤麺」です。
炸醤麺を日本語読みすれば、ザージャンメンとなります。
しかし、巷では何をどう解釈したのか分りませんが、
ジャンジャンメンとかジャージャーメンなどと
適当に呼ばれているのをよく見かけます。
また、炸醤麺に関してはタンタン麺と同じく、
その内容も相当間違って
日本風にアレンジされている場合が多いのが現状でしょう。
昔、中国の日本料理店で鰻丼を頼んだら、
缶詰のサンマの蒲焼を丼に乗せたものが出てきて
呆れた経験があります。
最近、コンビニでも見かけるようになった炸醤麺を
北京の人が食べたら、そんな感想を持つのではないでしょうか。
私は「なぜ、本物の北京風の炸醤麺と
日本の炸醤麺が随分違うものになってしまったか」
という事について3日程寝ずに考えてみたのですが、
昨夜ついにその原因を突き止めました。
その原因とは、「麻婆豆腐の影響」です。
つまり、日本風の炸醤麺にかかっているものは、
麻婆豆腐の豆腐抜きみたいなあんかけのタレだったのです。
私の調査によると、
関西にある中華料理屋658軒のうちで
そのような麻婆豆腐あんかけ風タレがかかっている
日本的炸醤麺を出しているお店は
645軒にのぼる事が明らかになっています。
本物の北京風炸醤麺と
日本的炸醤麺には大きな違いが二つあります。
この違いを見れば、
いかに日本的炸醤麺が麻婆豆腐の影響を受け
勘違いして作られたかがわかります。
その違いとは、
本物の炸醤麺のタレは、
汁気が全くなく、且つ辛くはない事です。
それに対し、日本的炸醤麺は肉味噌のタレに
豆板醤で辛味を付けスープでのばし
片栗粉であんかけにするという、麻婆豆腐の調理法そのものです。
以上の考察から、
元来代表的な北京家庭料理である炸醤麺ですが、
こと日本の炸醤麺においてはその殆どが
中途半端な四川料理になっている
という事実が判明いたしました事をここに報告いたしまして、
私の挨拶に代えさせていただきたいと存じます。
 |
初夏なので、炸醤麺を作ってみた。
本物の炸醤麺のタレはこんな感じ。 |
|