中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第261回
それなら、自分で作ってしまえ!

今回も「中国古陶磁器に盛って映える料理」
略して、中国料理のコーナーの番外編です。

前回のコラムにも書きましたが、
1990年代中頃までの中国では多くの人が国有企業に勤め
一律安い給料で縛られていたせいで、
ことあるごとに企業や国のお金を使って
飲食する事が当たり前とされていました。

それはある意味、その消費に国の景気を回す役割があり、
必要経費としての飲食が
正当化されていた部分もあったとも言えます。

改革開放の波に乗り、
利益が増えてきた企業などは
その利益をどのように使うかに頭を使うようになります。

何もせず、正直に国に上納するバカはいません。
かと言って、堂々と
個人的な事に流用するほどの度胸もありません。
何故なら、中国では横領などの経済犯罪に対しての刑罰が
異様に重いからです。

だから、多くの人は会社や役所である程度の地位が出来ると、
会社の車を個人用として使ったり、
またそれを人に貸してお金を取ったり、
会社の住居を他人に貸したり、
個人の飲食代を会社につけ回したりする程度の
小悪行を重ねる事となります。

本来ならば給料がどんどん上がっていけば問題ないのですが、
当時はまだ社会主義体制が守られており、
給料は規定通りにしか
上がらなかったので仕方なかったのでしょう。

そういう状況ですので、
よく儲かっている大企業の近くにあるレストランの中で
その企業の指定をいただいたレストランなどは、
もはやその企業の社内食堂のような様相を呈してきます。

そのようなレストランは、毎晩、毎晩、接待に使われますので、
売り上げの心配をすることはなくなります。
しかし、今度は別の意味で苦労させられる事になる訳です。

つまり、バックマージンに関する事です。
これに関しては当然簡単にはいきません。
それは、お客様を連れてきた旅行社に対し、
10%のマージンをその口座に振り込むような
単純な作業ではないからです。

レストラン側としては、
下手に得意先の特定の個人へ賄賂を渡せば贈賄罪に問われますし、
企業側としても、いくらお金を使ったからと言っても
あからさまに「使ったお金の20%を返せ」とは言えません。
そこで、非常にややこしいやり取りが
繰り広げられる事になります。
このややこしいやり取りについて詳しく説明いたしますと
日が暮れてしまいますので、
今回は割愛させていただきます。

そして遂に、企業側はそういう
ややこしい事から開放される方法を考え出しました。

そうです、自分達でレストランを作ってしまうのです。
会社のお金を使いどんどん宴会する、
その売り上げはまた会社に入る、また宴会する。

これで、国の景気も回り、全員が万々歳です。
勿論、レストランと言っても大きくて本格的なものです。

お客さんは、その企業の人だけではなく
美味しくて安いなどと評判を聞きつけた近所の人で
賑わうお店もありました。

1990年初頭〜中頃、私と付き合いのあった会社の多くが
自分達のレストランを持っていました。
それが不思議で仕方なかったのですが、
その実情を聞いて「なるほど」と思ったのです。

 
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2009年6月10日(水)

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