中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第262回
高額落札 中国古陶磁器より

今回紹介する逸品は明時代 
嘉靖年期の官窯で焼かれた蓋付きの壺です。
まず、落札価格を見て下さい。

44.044.750 HKD !!

なんと日本円に直すと6億円以上になります。
緋鯉が6匹見えていますので、1匹1億円という計算です。

いや、1匹1億円では大小の差が不公平に感じますので、
一番大きい奴が3億円、次が1億5千万円、
残りの小さな3匹を各5千万円としておきましょう。

いずれにしても、
あなたの年収は焼き物に描かれた鯉以下のものとなります。

では、なぜこの壺がこれほど高額なのか?
その答えはやはり「鯉」にあります。

このような色とりどりの焼き物を
中国では「五彩」と呼びます。
このような艶やかな焼き物は
明時代になってようやく完成しました。

それまでは、
これほど綺麗に発色する釉薬が開発されていなかったのです。

一見無邪気に見えるこの壺の色彩にしても、
実は大変苦労して描かれたものです。

まず、作品中の青色は表面の透明釉の下でしか発色しない
コバルトによって描かれており、
一度それを焼いてから、
赤、黄色、緑と色を重ねて焼き付けていきます。

そして最後に、ようやく鯉様の登場です。
この鯉はオレンジ色ですが、
当時オレンジ色に発色する釉薬は存在しませんでした。

そこで、一度黄色の釉薬で文様を描き焼成した後、
その上から更に赤色の釉薬で重ね塗りをしたのです。

そのような色絵陶磁器の正に萌芽期のような時代、
そしてその時代の代表的な大作なので、
この壺には6億円というとてつもない価格がつく訳です。

 
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2009年6月12日(金)

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