第266回
茶道に使える茶碗
日本において中国古陶磁器は単なる鑑賞用というよりも、
茶道具として使えるか使えないが重要であり、
茶道具としての評価によって
陶磁器の価格には大きな差が出ました。
ですので、日本には
明時代から清時代に大量に焼かれたと思われる
大型の皿や壺があまり遺されておりません。
煌びやかな大皿や大壺は日本の住居や
日本人の趣味に合わなかったのでしょう。
逆に、茶道具として使える茶碗や花生けや
小皿などに関して言えば、
世界に誇れるような逸品が日本には沢山遺されています。
その中でも、茶碗に限って言えば、
質・量とも日本にあるコレクションが
世界一だと自負して良いと思います。
でもまあ、日本は宋時代から
大量の茶碗を輸入し続けてきたのですから、
多くの中国製茶碗が遺されているのは当然の事でしょう。
今回は、そんな茶碗の代表的なもの、
つまり日本の茶道の世界においても
垂涎の逸品をいくつか紹介します。
 |
 |
宋時代、茶碗を専門に焼いた建窯の耀変天目。
世界に四碗しかないが、
その四碗は全て日本にある。
この作品は国宝に指定されている。 |
宋時代、吉州窯で焼かれた作品
切り絵の台紙を使い文様を描く独特
な手法を取り入れた。 |
 |
 |
宋時代、龍泉窯の青磁茶碗
神秘的な青磁の発色は当時の日本では
あり得ないもので、特に公家に人気があった。 |
宋時代、福建省辺りの雑器窯で焼かれた
珠光青磁。
そのくだけた作風が詫び寂びの
精神とマッチし大変高い評価を得た。 |
 |
 |
金時代、磁州窯の絵高麗茶碗
高麗(朝鮮)で焼かれたものと似ていた為
この名がついたと言われる。 |
明時代、古染付けと呼ばれる磁器
日本からの注文によって焼かれたもの
日本人好みのシンプルなデザインが多い |
|