第273回
ハイハイ天さん、天さんです
○今回の依頼者
今回も天ちゃんさんの駆け込み依頼です。
○依頼文
天目茶碗の鑑定ありがとうございました。
天さんのコーナーがあと少しで終わるとのこと大変残念です。
早速、私のコレクションから
できるだけ多くを鑑定いただきたいと思いますので
よろしくお願いいたします。
今回の依頼品は、出所は同じ上海で譲っていただいた、
天啓時代の染付茶碗です。
鳳凰、竹、雀などがよく描かれていて動きを感じます。
夏茶碗に使うつもりです。
もう一点、
今回は私がインドネシアのスラバヤで
30年前になじみの骨董屋から購入した青磁です。
時々香を焚いたりし楽しんでいます。
H-6p W-7pです。
元か南宋の青磁でしょうか?
○鑑定結果
まず、青花磁器の方ですが、
これは呉須(コバルト)の発色、描写、
磁器の地肌などから判断して、
まず明末天啓期、景徳鎮民間窯で焼かれた
青花磁器に間違いないでしょう。
描かれてある図柄から見て、日本への輸出品ではなく、
中国国内向けまたは他アジア向けの輸出品だったものでしょう。
ここ数年、非常に精巧な
明末青花磁器の贋作が大量に出回っていますので、
中国などであまり安価なものを買わない方が良いのですが、
この作品は良いものだと思います。
価格的には、中国では数万円〜10数万円
日本では20万円〜60万円ぐらいで
売られているのではないでしょうか?
青磁の方はちょっと画像が光で飛んでいて
釉色がはっきり見えないので断言はできませんが、
南宋時代の龍泉窯の青磁と見てまず間違いないと思います。
龍泉窯は中国随一の青磁窯で
南宋〜明の長期間において
世界中に大量の青磁を輸出してきました。
インドネシアで求められたという事ですが、
龍泉窯の青磁は東南アジア方面にも輸出されていましたので、
それもごく自然な事です。
画像が不鮮明でハッキリ分かりませんが、
少し擦れが多いように見えます。
もしかしたら、海から引き揚げられたものかも知れません。
価格的に言えば、青磁は釉色と
表面のカセ(風化)などよってその評価が大きく変わってきます。
画像が不鮮明なのでハッキリ言えませんが、
依頼品はそれ程高いものではないと思います。
○結論
残るコラムもあと4回になりました。
まだ鑑定して欲しい品が残っているなら、
すぐにメールして下さい。
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依頼品1
明末の青花磁器 |
依頼品1(底部) |
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依頼品2
南宋の龍泉窯青磁 |
依頼品2(底部) |
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