中国民俗研究家・上田尾一憲が語る、中国民俗の魅力

第20回
愛する気持ち。

この走婚の習慣のあるモソ人たちの
住むルグ湖周辺の地域。
この婚姻習慣を面白可笑しく、
大袈裟に紹介している
文章も中にはあります。

例えば、
「あそこはフリーセックスの場所で
毎晩違う女の人の家に忍びこむことができ
子供が生まれても誰の子供かも気しない
天国のような所」といった記事がありました。

その様な記事を本気にして、
ツアーを組んでくる男性達もいるらしいですが、
走婚はそんなものではありません。
モソ人の男性達も、今日はこの女性、
明日はこの女性という考えを持った人は非常に少なく、
女性もどんな男性でも受け入れるわけではなくて、
自分が本当に愛している人しか受け入れないのです。
2人がお互いに想う心があって初めて
走婚が成り立つのです。

モソ人の女性は自分から男性の家に行く事は
ありませんので、夜になると愛する男性の事を
今か今かと心をときめかせながら、
薄暗い自分の部屋で待っているのです。
それに答えるように、男性も雨の日も風の日も
愛する女性の事を想いながら、
夜になると女性の部屋へと向かうのです。

男性が何かの理由で来ない時は、
「もしかすると他の女性の所へ行ったのかな?」と
思う事があっても、じっと耐えて
「それは大好きな彼の選択だから」と
男性を責める事もなく、
不安ながらも信じて待っているのです。
男性も愛する女性の部屋に通うようになってから
後にその女性が万が一他の男の人を愛し、
男性が部屋に入ろうとした時に、
新しい男性がすでに部屋にいた場合は、
悲しいけれど、彼女の幸せを思い、唇を噛み締めながら
そっと身を引くのです。
決してその男性と争う事はありません。

それに走婚で生まれて来た子供は
自分の父親が誰なのかは、解っています。
しかしその父親を「お父さん」とは呼ばず
「おじさん」と呼びます。
モソ人達の走婚の習慣も
私たちの結婚の習慣も
結婚する男女の間に愛があって初めて
結ばれるものなのです。
人を愛する心は場所が何処であろうが
国や民族が違おうが世界共通なのです。

中国と日本。
国同士が愛し合えるような
関係になる事を切に願い、そして思います。
日本も中国も大好きだから・・・。


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