中国民俗研究家・上田尾一憲が語る、中国民俗の魅力

第41回
胸が痛む詩・・・

口車で出世した安禄山は
毎日玄宗皇帝と楊貴妃におべっかを使い
2人の機嫌を取っていました。
しかし、安禄山は辺境の地で軍隊をも操っていましたので
2人にヘコヘコするくらいなら、
いっそのこと自分が皇帝になってやろうと思い、
国が乱れていることを理由に
15万の兵隊を連れて反乱を起こし
洛陽になだれ込みました。
(755年安禄山の乱)
辺境の地で外国から国を守る為の兵士が
攻めて来たのですから、洛陽は守る兵士もなく
あっけなく落ちてしまいました。
そして間もなく、
安禄山はついに玄宗、楊貴妃のいる
長安へと兵を進めたのです。
安禄山が長安へ攻めて来る知らせを聞いた
玄宗と楊貴妃は、蜀(現在の四川省)の国へと
逃げて行ったのです。
しかし!玄宗と楊貴妃を護衛する兵士は
この国を乱し、反乱を起こさせた張本人は、
玄宗の心を奪った楊貴妃だと言って、
楊貴妃を殺すように玄宗に迫ったのです。
この要求を断れば
楊貴妃共々自分も殺される事はわかっていましたので
玄宗は泣く泣く愛する楊貴妃を兵士に渡し
処刑させたのです。
いつでもどこでも一緒だった2人に
とうとう悲しい別れが訪れました。

歸來池苑皆依舊  帰り来たれば 池苑皆旧に依る
太液芙蓉未央柳  太液の芙蓉も 未央の柳も
芙蓉如面柳如眉  芙蓉は面の如く 柳は眉の如し
對此如何不涙垂  此に対して 如何ぞ涙垂れざらん

玄宗と楊貴妃の悲劇的な恋物語、
白居易の「長恨歌」の中の詩です。
意味は以下の通りです。
帰って来ても楊貴妃がいない事を除けば
池の芙蓉も周りの柳も変わりない。
芙蓉は彼女の顔に見え、柳は彼女の眉の様に見える。
それらを見て彼女を思い出せば涙は止まることを知らない。
※芙蓉(ハスの花の別称、美人にたとえられる。)

なんともなんとも切ない詩です。
胸がキューンとなってしまいますね。
付き合っている彼女、彼氏と別れた時は
このような思いに皆さんなるのでは
ないでしょうか。
この詩・・・悲しみがよ〜く伝わってきます。


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