中国民俗研究家・上田尾一憲が語る、中国民俗の魅力

第47回
傾国美人も今はボロボロ?

(前回の続き)
その後、呂布は董卓の目をしのんでは
ちょくちょく貂蝉に会いに行き、
貂蝉も2人の仲をもっと悪くするために、
「本当は呂布様の事が好きなのに董卓に無理やり・・・」と
呂布に泣きつきます。
その言葉を聞いて呂布は益々貂蝉を自分だけの人にと
思うようになりました。

その一方、貂蝉は董卓に対しては
ますます気に入ってもらおうと色々と頑張りました。
この2人の間をうまい具合に立ち回り、
呂布も董卓も貂蝉に惚れ込んでしまいました。
そして、ついに!!
呂布と貂蝉が密かに会っている所に董卓が!!
それを見た董卓は「コラッーお前ら!」と怒り
近くにあった戟(槍みたいな武器)を呂布目掛けて
投げつけました。
呂布はヒラッとかわしたからよかったものの
これ以来呂布と董卓の仲は最悪となり、
とうとう呂布は王允と仕組んで
董卓を殺してしまったのです。
全国の諸将が集まっても倒せなかった
極悪独裁者の董卓をなんと、
若干16歳の女の子が倒してしまったのです。

貂蝉は自分を実の娘の様に育ててくれた
王允の恩に報いるために、危険を顧みずに
この計画を実行し、成功させたのです。
1人の美女が国を傾けた・・・
まさに傾国美人とはこの貂蝉のことでしょう。

この物語は「三国志演義」の中のお話で
貂蝉は著者羅貫中の創作人物で
実際には存在していなかったとされています。
正史では董卓の妾に呂布が惚れちゃったって
ことになっているみたいです。

しかし、この貂蝉の故郷は山西省忻州市から
東南3キロの場所にある木芝村にあると言われています。
そこには貂蝉陵園と呼ばれる園があり、
園の真中には貂蝉の像があり、
そして貂蝉のお墓まであるのです。
しかし、訪れるひとは少なくボロボロで
近所の人がその園の中で鶏を飼っているようです。
ああ哀れな美女貂蝉・・・。


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