中国民俗研究家・上田尾一憲が語る、中国民俗の魅力

第55回
元祖「お金儲けの神様」登場!!

越王勾践(こうせん)の考えを見抜き
早々と越を離れ斉の国へと移った
范蠡(はんれい)は、
名を鴟夷子皮(しいひし)と改めました。
鴟夷子皮とは皮袋の事で、
使わないときは小さくたたんでおく事ができ、
物を入れるときには酒でも穀物でもなんでも、
大きく膨らみたくさん入れることができる。
なんとなくお金もうけのヒントが
この名前の中から伝わってきます。
もう一説では、以前のライバル国、呉の国に
仕えていたあの伍子胥(ごししょ)が
呉王に処刑され鴟夷の中に入れられ、
川に捨てられた事に同情してこの名前が
つけられたといわれています。

さて、范蠡は斉の地においては
海浜で耕作に従事し、自らを苦しめ
力を合わせて親子で蓄財に励んだ結果
みるみる内にお金がたまり、
斉でも有数の金持ちになったのです。
その噂はすぐに斉の王に伝わり
王は范蠡のその賢才を見込んで
宰相の位を授けようとしましたが、
(宰相とは君主の政務を助ける最高位の官吏の名称)
「久しく尊名を受けることは身のためではない」と言って
越にいた時と同様に非常に位の高い身分を捨てただけでなく、
なんと今まで苦労をして貯めていた沢山の財産も
その地にいる人たちに分け与えました。
その後は陶(山東省定陶)の国へと移って行きました。
そして陶で商いを始め、またあっという間に
巨万の富を得るのです。
彼の金儲けの方法は
戦争が近くなれば、必要な物を前もって
備えておく事が当たり前のように、
時に応じて皆から必要とされそうな物は
一足早く買い入れておく。
范蠡は人より早く
そのような流れが読めるので、
その流れに笊を構えていると
あっという間にお金が入ってくるのです。
まさにお金儲けの神様ですね。


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