伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第43回
鍼灸師は多いけれど

フランクフルトでは、いかにも「中医学」ブーム
と呼びたくなるような雰囲気に溢れてはいます。
けれど、あの「アジア食」ブームほど大きな波に
育っているとは言い難いものがあります。

フランクフルトには、鍼灸学校があるだけでなく、
薬局では、漢字で「中」と墨書きした書を掲げたり、
施灸図を誇らしげにディスプレイしたりするところも
日常的に見受けられます。
けれども、そういう薬局の門戸を叩いてみても、
大抵は、灸や漢方薬を実際に取り扱ってはいません。
東洋ハーブ(漢方薬で使われる生薬)配合の
胃腸薬などは、普通に取り扱っています。

よく気をつけて看板を見ていれば
街角で開業している鍼灸院も本当に多く、
ドイツにはすでに50万人以上の治療師がいる、
というのは、頷ける話です。
第40回のコラムで登場したドイツ人女性が、
苦学の末に治療師の資格を取ったというのは
少なくとも20年も前の話ですから、
その後も、資格を持った卒業生が
多く輩出されていることでしょう。

けれども、あのアジア食のブームのように、
鍼や灸、東洋ハーブを受け入れたい、
体験してみたい、と誰もが強く思うまでには、
どうももう少し時間が掛かりそうに見えるのです。

生粋のドイツ人の鍼灸師も多いし、
本場中国からも若い人たちが
専門職として大勢、乗り込んできている、
なのに、実際に治療院を訪ねてみても、
彼らの覇気は、私には今ひとつに見えるのです。
何故でしょう?
そう思って、治療師資格を持つ彼女に話を聞いてみると、
どうやら、私たちアジア人が想像する中医学とは
少し異なる、ドイツらしい中医学の受け止められ方が
あるようなのです。


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2007年2月12日(月)

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