伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第96回
ドイツだって、金ブタだぁ…

今年は60年に一度の「金猪年」だそうなので、
猪というのは、ここではイノシシではなく豚で
良い景気にあやかれる…など、
この本当の由来や事情は、
本場アジアでのお話を聞いたほうがよさそうです。

この金猪、周り巡って、ユーラシア大陸の反対側にも、
昨年暮れになるころには、到着しています。
「来年は中国では、
ゲォルド シュヴァイン(金のブタ)の年らしい、
金のブタというのは…」
というお話が
一部のアジア通の人から広まり始めていました。
そして、この2月になってからは、
中国出張に行った人たちから、
「ホントに今年は金ブタだぁ…」
という驚きの声がひたひたと耳に入ってきました。

ドイツでも、日頃からブタは幸運のシンボルです。
「ゲリュック シュヴァイン(幸運のブタ)」と呼び、
幸運を運び、多産で財産を増やすという縁起もの。
「節約できる=(お金持ちになれる)=豊かになれる」
の感覚があるので、お金が貯まります、の象徴として
「ピンク」のブタの貯金箱がよく登場します。
が、これも今年はドイツにしては珍しく「金色」の
ブタの貯金箱がコマーシャルに使われるようになりました。

2月に金ブタだぁ…という話が聞けるなら、
昨年、種を蒔いた2006年の実りの具合が良いということ。
2006年1年間の実りは、ひいては2007年の支払いの
ボーナスにはちゃんと反映されるんだろうねェ…と
「お金財布」の底をひっくり返し、
埃をパンパンとはらいながら聞いていた人が
ドイツの中ではとても多かったと思うのです。
夏の休暇に入る前に、その前年の余剰収益が「あれば」
ボーナスとして社員に分配する企業が多いのです。
余剰収益が「なければ」、そのボーナスはありません。
さぁ、さぁ、金ブタ年の効果はいかに?
これが意外と、皆、多くの人が潤っている様子なのです。
個人に対する税も法人税も引き上げ方向に
向かっているのに、です。

こういう時には、ドイツ国内に投資している企業が、
利益を大規模な費用として使おうとしています。
例えば、大型店舗を持つ小売業は
全床店舗改装、新規店舗開店に忙しいのです。
これまで、夜8時までを10時まで延長開店するなど、
規制が緩んだお陰で人件費も光熱費も掛かっているのに、
そして、消費税も19%に値上がりしたのに、
なお、それをも乗り越えています。

一般品物の価格のほとんどは、大きく変わっていません。
私が知っている中では、
あの靴修理のお店だけが大幅値上げしました。
景気が厳しいときには、
皆、節約するので大繁盛するのですが、
少し懐が潤うと皆すぐに、新しい靴へと足が向くようです。


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2007年6月15日(金)

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