伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第101回
ワンコインショップの品物はトルコ製?

EUの一つの国に仲間入りすることになるか、
ならないかということで、
しばしばこのトルコという国名が聞こえていました。
第55回で記したように、このトルコ、
欧州とは切ってもきれない
深い歴史の縁を活かし、目下、工業国へと発展の最中です。

ドイツに住むトルコの人といえば、
すぐにドイツへ移住した外国人、というイメージで語られます。
日本では、「労働に来る外国人は大変そう、
例えば、ドイツでは…」
という視点からの報道が今も繰り返されています。
けれども、私の目からすると、
確かに彼らも私と同じ外国人で、現地に馴染むために
今も苦労を重ねていますが、
昨日ドイツに来たようなEU圏外の外国人に比べると
彼らの方がずっと良くドイツ社会に
馴染んでいるように見えます。

トルコからの移民が多いと言われていたのは、
1960年代のお話。
今や50年近く経ち、少なくとも3世代を経た人々が
ドイツに根っこを下ろして住んでいます。
その子孫のほとんどはドイツ語がきちんと話せ、
そしてドイツ国籍を取得しています。
高い学歴を得るよう努力して、
実際に社会の中で活躍している人も少なくありません。
トルコは、まだEUではありませんが、
すでにEUであるドイツ国籍を取得している人との
繋がりを上手く活用しながら、
トルコとドイツとの間の事業を進めているようにも見えます。

フランクフルトの下町を歩いてみて驚きました。
1ユーロ、2ユーロというワンコインで、
布地や陶器や金属、プラスチック製の
生活雑貨や衣類、消耗品を売る安売りのお店が
そこには何軒も連なっているのですが、
その品揃えが一目で、アジア品と分る品が少なくなり、
トルコからの工業品が溢れるようになっていました。

どこでその製品と判別するのかと言えば、
まず、品物をせっせと陳列している従業員の脇にある
ダンボールに印刷されているメーカーや
ドイツの輸入会社の地名です。
また、質感、色やデザインでの
あまりに上手に欧州人好みにした仕上げ具合です。
陶器・ガラス・金属・プラスチックなどという材料でできた雑貨は、
どちらかというと、素材を節約して使っている、
薄め・軽めのアジア製品に比べ、
素材使いがたっぷりしているのが特徴です。
「丈夫=賢い節約
(価格が少々高くても長持ちするものを買う)」、
かつ「丈夫=重厚長大」というドイツ感覚。
トルコ製品はどうやらそこをクリアしているようなのです。
このようなトルコ製雑貨のドイツへ大量の流れ込む様子は、
ちょうど、日本各地でワンコインショップが次々と
開店したころを思い出させます。


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2007年6月27日(水)

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