伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第196回
EUに住むときのハードル

どんなにドイツの制約生活を続けても、
個人で手出しできる生活資金には限度があります。
これでダメなら仕方がない、と
ドイツを立ち去る覚悟も腹の中で決めて
生活資金の目処を立てるための話を
始めました(第188回)。

「内部で相談しますから」、
「次の連絡があるまで待ってください」などと、
時間稼ぎしたり、タライ回したりせず、
窓口として立ち会ってくれた人は
皆、真摯に話を聞いてくれました。

日本人がEUに住むときのハードルについて、
2つの点から説明をしたのです。
1つは、ノンEUであるがゆえに
就労ビザの制限があって
プラスアルファの収入がすぐに見込めないこと。
もう1つは、次のような日本とEUとの
社会のギャップが金銭の負担増を生んでいること。

EU人ではなく、日本人として
ドイツに住むハードルがウンと高くなるのは、
「長期滞在を前提とした個人」の暮らしを
高い年齢、つまりざっと見て約30歳以降から
開始するときです。
社会の仕組み、特に高福祉国家で、
年金と医療保険をゼロから支払うには、
開始年齢が上がるほど辛くなります。

ただし、年金については、日本とドイツの間に、
社会保障協定という取り決めがあるので、
過去に日本で支払っていれば、
これからドイツで支払う分も多少報われます。

しかし、医療保険については、日本の仕組みが
EUでは直接、通用しません。
そのまま、掛け始めの年齢と収入によって、
その内容が大きく変わります。
個人で全額負担しようとすると、
受けられる医療内容をうんと下げるか、
大金の保険料を支払うかの二択に迫られます。

これは、日本のように国内居住する習慣の国と、
EUのように気軽に外国居住する習慣がある国との
社会の仕組みの違いで生まれるハードルです。


←前回記事へ

2008年2月4日(月)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ