伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第236回
そうは問屋が卸しません

2006年1月半ば、長いクリスマス・正月休暇が
明けたころ(第226回)、
ドイツ暮らしを続けるための新たな提案がありました。
たとえ助っ人が現れたとしても、
事態はすんなり解決しないだろうと心の覚悟はできています。

案の定、そうは問屋が卸しませんでした。
しかも、「これは解決の糸口だ!大きなチャンスだ!」と
直感を働かせて、その場でパッと掴み取らなければ、
一瞬で消え去ってしまいそうなほど、
ささやかなお話でした。
それにしても、そう簡単には乗れない、
少なからず気が重い内容でした。

自国だけで一生を終える道を選ぶより、
男女とも若いうちから母国を飛び出して仕事を探し、
異動しながら才能を伸ばし、
生き抜こうとする欧州人が大勢います。

どんな環境でも、欧州人が欧州人として仕事や生活を快適にし、
互いに助け合いながら暮らすために、
欧州国籍を超えた大小の団体が無数にあります。
英国人、フランス人、イタリア人など、
皆、欧州人とはいえ、
ドイツでチャンスを得て生きようとするなら、
言葉や習慣の違いに散々苦労している「外国人」です。
そんな団体の1つにでも所属すれば、
「いくらか欧州で住みやすくなるのではないか?」
というお話でした。

それで生活会計がラクになるとは到底、思えません。
だからと言って、それを断る理由もありません。
もしも、そういう団体に属すことができるなら、
何か優遇されることがあるのかもしれないけれど、
それを期待してよいかどうかも分かりません。

しかも、ヨソ者がそんな団体に所属するのが
非常に困難なのは、百も承知でした。
ヨソ者どころか、たとえ欧州人が強く望んでも、
その誰もに門戸を広げて
受け入れている様子でもありません。

外側からでは、中身が全く見えない話だけれど、
これを断れば、ドイツを立ち去ることが
決定的になる予感がします。
「本当に大丈夫なのか?」という不安を持ったまま、
「そうします」と承諾の返事をしました。


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2008年5月7日(水)

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