伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第245回
お好みは、都市風景より田園風景

フランクフルトという、
欧州の「大都市」の1つに住んでみて驚くのは、
「大都市の小規模さ」です。
ベルリンもそんなに大きくありませんし、
パリやロンドンも似たような規模だろうと思います。

東京や上海などアジアの大都市が、
拡大する一方なのを見て驚く人が少なくありません。
「東京のように、人とビルと車で忙しい街の中で、
日本人は一体どのような生活しているのか?」、
「あの都市生活の中で、
皆は、人間としての幸せをどこに感じているのか?」は、
「日本人に1度は聞いてみたかった質問」
としてよく挙がります。

確かに、フランクフルトは、電車で一周するのに
半日の、そのまた半分も要りません。
金融機関のシンボルである高層ビルが立ち並ぶ区域は、
ほんのお散歩がてらに、歩いて回れる範囲です。

リンゴ畑や麦畑、クライン・ガルテン(第231回)、
そして、川辺の公園や森林が
居住区の合間に埋め込まれています。
絵葉書やテレビの画面で見てみれば、
いかにも摩天楼が立ち並んでいるような立派なイメージなので、
カメラを使えばこんな具合に撮れるのか、と驚きます。

欧州人は、都市として発展させる区域を限定させ、
治安維持のためにも都市が拡大しすぎないよう、
発展に「ブレーキ」を巧みに踏んでいたんだな、
と住んでみてから気が付きました。

この「ブレーキ」作用をしているのが田園風景。
もともと、都市化へ発展のアクセルを踏むより、
ブレーキを多く取り入れるのに熱心なようです。
彼らのお好みは、小鳥がさえずり、
鹿やウサギなど野生動物が走り回る、のんびり田園風景。
海辺なら、波音が聞こえる静かな港や砂浜の風景です。

美味しい空気、お日様たっぷり、
のんびりゆっくり日向ぼっこできる
時間と場所とお金を確保するのが、
彼らにとって「最高の幸せ」です。
その幸せ空間がたっぷりな上、
昔ながらの地元らしい落ち着いた風景があり、
安全で衛生的、加えてそこの物価が安ければ、
彼らが「絶賛する大都市」になります。


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2008年5月28日(水)

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