服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第837回
夏の夜のシアサッカー

もっとも初夏らしい生地といえば、
何を想像しますか。
これはちょっと難しい。
あまりに種類が多すぎるし、
好みによっても違ってくるでしょう。
でも、私としては一番目に
シアサッカーをあげたいのです。
“シアサッカー”seersuckerについては
以前にも少しお話したことがありますね

よくコードレーンと
混同されることがあるのですが、
コーンドレーンとシアサッカーはまったく別物です。
シアサッカーにはストライプ状のシボ(皺)がある。
というよりもシボのないストライプと
シボのあるストライプが交互に並んでいることが、
シアサッカーなによりの特徴なのです。
これは糸に与えるテンションの問題。
テンションの強弱の違いによって、
あの独特のシボが生まれるのです。

シアサッカーはふつう
盛夏用のジャケットやスーツに
ふさわしい生地とされます。
でも、それだけではありません。
1960年代のはじめには、
盛夏用のディナー・ジャケットの生地として
流行したことがあります。
よくガーデン・パーティーなどで、
白いタキシードを着ることがありますが、
いわばその代用でもあったのです。

だから、というわけではありませんが、
一度シアサッカーのジャケットで
ドレス・アップしてみたいのです。
もちろんディナー・ジャケットの必要はありません。
ごくふつうのシングル前やダブル前の、
シアサッカー・ジャケットで良いのです。

ブルーか黒のサマー・ウールのパンツに
白いシャツを合わせる。
同じくブルーを基調にした水玉模様の蝶ネクタイ。
好みによっては
白麻のハンカチを胸ポケットに飾る。
よほど正式な会でもない限り、
夏の夜のドレス・アップには
これで充分だと私は考えています。

もちろん余裕があるなら、
シアサッカーで、
シングル前1つボタン、ショール・カラーの
ディナー・ジャケットを新調するのも、
ひとつの方法でしょう。
もしそうなら私としては
むしろのこの盛夏用タキシードに、
ブルー・ジーンズを合わせて
カジュアルに着こなしたくなるでしょうが。


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