知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第105回
ゴルフボールには3千件もの特許が!

これまでにも何度か引き合いに出した話題で、
携帯電話は特許のかたまりだというお話があります
第5回ご参照)。
今回はゴルフに集中して話題提供させていただいているので
ボールについても触れたいと思います。
実は、ゴルフボールの特許件数は見かけによらず
携帯電話を完全に凌駕します。
その数なんと3000といいます。

風の噂できいたのですが、
2005年にミズノがゴルフ事業復活を賭けて
70年ぶりにボールを開発した際、
網の目のように張り巡らされた特許を完全にクリアするのに
1年以上を要したそうです。

そんなゴルフボールですが、
特許庁が用意している技術分野別の「標準技術集」に
ちゃんと「ゴルフボール」というテーマが存在します(1)。
一方で「ゴルフクラブ」という
テーマは用意されていないようなので、
この間見た
ダンロップとブリヂストンの例(第102回ご参照)に限らず、
全国的にみても
きっとクラブよりもボールに関する出願の方が多いのでしょう。

ちょっと中身を見てみると、
特許庁ではゴルフボールに関する出願について、
以下の9つの技術分野に分類しています。

 1.全体構造
 2.芯(コア)
 3.カバー(最外層)
 4.ペイント
 5.ディンプル
 6.外観
 7.ボール特性の測定・評価
 8.製造方法
 9.糸巻き

こうしてみると、あの小さなボールの中に
さまざまな種類の技術が結集されていることがわかります。
「全体構造」の項目では単層か多層か、
つまり1ピース、2〜5ピースまでの構造で分類されていますし、
芯(コア)の項目では、
例えばソフト高反発性や重心バランスといった性能面での分類や、
原料となるゴムや充填剤、
老化防止剤といった材料面での分類がなされています。
それからディンプルというのは
ボール表面上に設けられたたくさんのくぼみのことと思いますが、
その組み合わせや配列について、
8面体〜60面体、
さらには六方細密にいたるまでの技術分類がされていて
奥が深そうです。

この技術集、ゴルフボールの発展とルールの変遷についても
年表にしてとても興味深くまとめられていますので、
ゴルフがお好きな方は是非ご覧になってみてください。

1 http://www.jpo.go.jp/shiryou/index.htm
  「標準技術集」→「ゴルフボール」の項をご参照


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2008年4月19日(土)

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