「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第160回
鮨屋でゴルフをハーフラウンド (その1)

銀座の鮨屋でハーフを回ってきた。
と言っても、実際にドライバーを振り回したり、
パターをストロークしたのではない。
酒肴をいろいろとつまんだあとに、
にぎりを9カンいただいて、その1カンずつを
9ホールに見立て、特筆モノをバーディーとし、
それなりならばパー、難のあるものはボギーとする寸法。
もちろんイーグルやダボだって、無きにしも非ず。
詳しくは第40回参照のこと。

東銀座は歌舞伎座の裏手、
往時は築地川が流れたあとを、車が行き交う高速道路。
その上に掛かる祝橋の畔の
小さなビルの地下にある「鮨 宮澤」。
店主は本郷は旧春木町生まれの江戸っ子。
現存する小間物屋の「かねやす」よりも
城内に近づく春木町だから、江戸っ子で問題なかろう。
川柳に「本郷も かねやすまでは 江戸のうち」と
謳われているくらいですから。

サッポロ黒ラベルの生中を2杯。
あとは芋焼酎の川越を2杯に
麹まで芋を使った純芋を1杯。
それがこの店で飲んだ酒のすべて。
ツレの2人は冷たい菊姫の原酒を注しつ注されつ。
最初に白海老・寒平目・縞あじをつまむ。
アラスカ産キングサーモンの昆布〆が上々。
菊姫を勝手に振りかけた生の鱈子が旨い。
かき天ぷらのみぞれ和えは大粒なかきが大味。

つまみはこれくらいにして
いざ、ハーフラウンドの始まりだ。

鮨種のあとの記号は
バーディー○ パー ボギー

(1)小肌・・ (2)あぶり青柳・・ (3)さより・・
(4)子持ちしゃこ・・ (5)関あじ・・ (6)穴子・・○
(7)即席赤身づけ・・ (8)中とろ・・ (9)玉子・・○

                      計イーブンパー

イーブンパーなら立派なものだ。
しかも東のハズレとはいえ、
あくまでも銀座は銀座。
1人アタマ1万1千円の会計は
品揃えからして極めて良心的。
西銀座の6〜8丁目あたりでは
とてもこうはいかない。

青柳をあぶるならにぎりではなく、つまみだろう。
小肌・さより・関あじと、すだちの乱用も気にかかる。
しゃこもおそらく天草あたりの産だろうか、
江戸前には遠く及ばない。これは致し方なし。
1カンにカットを入れて、塩と煮つめで来た穴子は
アイデアもさることながら、しっかりしたシゴトぶり。
芝海老のすり身に大和芋を加えて焼いた玉子も
締めくくりにピタリと決まった。

若山富三郎を彷彿とさせる風貌の親方のにぎる鮨は
デリカシーよりもダイナミズムに特長がある。
今をときめく渡辺謙・南果歩夫妻に例えると
渡辺謙が食べるにふさわしいにぎり鮨。
次回は果歩さん向きの鮨を紹介しよう。

           =つづく=

 
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2007年2月9日(金)

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