「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第412回
かきフライで「煉瓦亭」を見直す

昨年の11月に銀座の「煉瓦亭」を訪れたときは
かきフライがお目当てだったのだが、
宵の口に売り切れご免!の憂き目に会ってしまった。
それではと、ポークソテーやハヤシライスを食べたが
「煉瓦亭」もちょっとオチたのではないかな、
という印象だった(360回参照)。

この冬はまだ「煉瓦亭」のかきフライを食べていない。
たまたま先日、銀座に出たおり、
20時スタートの飲み会の前に時間が空き、
独りで入店した。
初めて地下に降りたが、意外にも居心地がよい。
一人客やカップルが目立ち、
グループがいないから、静かで落ち着く。
若い男性の接客係も小気味よく対応してくれる。

サッポロラガー(赤星)の大瓶とかきフライを注文。
隣りの席のOLと思しき女性が
ハンバーグを食べ終え、文庫本を読み始めたので
こちらもツラレたように日経の夕刊に目を通す。
連載されている篠田節子の小説「薄暮」を目で追うが、
人物同士の会話が多く、1回でも読み損ねると、
はて? この登場人物は誰だったかな?
男だったか、女だったか、これがわずらわしい。

ビールを半分ほど飲んだところで料理が運ばれた。
香ばしいラードの匂いが鼻腔をくすぐる。
皿には細長いかきフライが6個に
コールスロー風のキャベツ千切り。
ポテトサラダとカットレモンとパセリが1房。
そしてタルタルソースがその脇に。

1つめのフライは何も付けずにパクッとやる。
パン粉の立ったコロモはカリカリのサクサク。
中に閉じ込められたかき本体は
8割がた生で、エキスがしたたるほどのもの。
思わず「旨い!」とうなった。

順次、レモンを搾り掛けたり、
練り辛子やタルタルソースや
ウスターソースを駆使して食べ進む。
理想的な揚げ上がりと言ってよい。
かきのウイークポイントは旨くもないくせに
固いばかりの貝柱なのだが、
当夜のかきはまったくそれを感じさせない。
おそらく三陸産だろうが、このおかげで
「煉瓦亭」を大いに見直した。さすがであった。

東京のかきフライは銀座の「煉瓦亭」と
丸の内の「レバンテ」が双璧。
タイプは異なるが、この2種類の
かきフライを食べないと、J.C.の冬はやって来ない。

1階に上がり、レジでお勘定。
2100円はずいぶん安いと思ったものの、
かきフライとビールだけだから、こんなものか。
43年も使われているスウェーデン製のレジスターが
いまだに現役で働いている。
東京オリンピックの直後に輸入されたものだが、
当時は銀座のあちこちで使われたそうだ。
SWEDAなるメーカー名がいかにもスウェーデンだ。


【本日の店舗紹介】
1「煉瓦亭」
http://www.ginza-rengatei.com/index1f.html

 
←前回記事へ

2008年1月30日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ