「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第416回
街で噂の坦々麺

かれこれ7年にもなろうか。
JR四ッ谷駅から麹町方面に向かって
すぐ左側にあるオフィスビル地階の
「辣辛房」という四川料理の店に入った。
単なる通りすがりで、なぜそんな場所を歩いていたのか
今となっては、まるで思い出せない。

ちょうどランチタイムの繁忙期。
キャパの大きい店だが、かなり立て込んでいた。
周りを見やると、坦々麺を食べている客ばかりだ。
胡麻の風味が店内に立ち込めていい匂い。
それほど好きでもない一品なのに
つい誘われて注文してしまった。

ところがこれが大当たり。
辛味とコク味が上手い具合に綱引きしながら
お互いを尊重し合っている、そんな感じがして好印象。
ツルリとくる食感の細打ち麺も歯に舌に快い。
こいつはいい麺にめぐりあったものだと
その日の昼下がりの幸運を素直に喜ぶ。
確か、際コーポレーションの経営だったと記憶している。

月日は流れてこの1月。
四谷の鮨店「すし匠」の
ばらちらし(410回参照)が急に食べたくなって
出掛けた折に、「辣辛房」の坦々麺のことを
ふと思い出したのだった。

思えばこの7年の間にいろんなことが
この身に降りかかってきたものだ。
そんな感慨にふけりながら
久しぶりにあの坦々麺を食べに来てみようか、
という気になったのである。
あれ以来、坦々麺はほんの3〜4回ほどしか
口にしていないハズだ。

出掛ける前に、あらかじめネットで検索すると、
どうやら店名が変わって
中国家常菜「麻辣房」となったようだ。
やはり坦々麺が有名で、嘘か本当か定かでないが
四谷の街では噂の坦々麺となっているとのこと。
厨房のスタッフがそのまま残って独立したらしい。
それなら余計に応援したくなるのも人情。
街で噂ならなおさらだ、さっそく飛んでいった。

開店間もない11時過ぎに入店すると、
レジに座っていたオバちゃんが
つまらなそうに無言でこちらに視線を送ってくる。
店内に客は誰もいない。
注文を取りに来たネエさんも愛想のない人だ。

何だかそのまま帰りたくなったが
大人気ないのでそのまま居座り、
坦々麺の小辛というのをお願いした。
辛さの選択が可能で、ほかに中辛と大辛があり、
そう言えば、前回は中辛を食べた覚えがある。

小辛でもじゅうぶんに辛い。
具は挽き肉の辛味噌だけで
以前はあった青梗菜が見当たらない。
全体的にごくフツーで、前回のほうが美味しく感じた。
小点心というのが付いていて
シュウマイでも出てくるのかと思いきや、
餡の入っていない素マンジュウが1つ。
味も素っ気もなく、これならないほうがいいんでないかい?

 
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2008年2月5日(火)

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