「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第444回
こんなに安けりゃ そば屋で飲むべし!

おかげさまで「食べる歓び」も第444回を迎えた。
長嶋茂雄が生涯に放ったホームラン数に並ぶ
この数字はJ.C.にとって、心に響く意味を持つ。
これを1つのマイルストーンとして
これからもよどみなく、食べ続け、歓び続けていきたい。

今まではほとんど足を向ける機会のなかった
東京の北のはずれ、足立区に再び姿を現したJ.C.。
西新井大師から徒歩10分ほどの距離にある
伝説の「キッチン・ラッキー」(第428回参照)に続き、
今回は日比谷線・梅島駅のそばのそば店「本郷」。

なんでも夜の冷酒セット(1575円)がお値打ちだという。
日本そば屋というものは、昼どきならば素直に食事。
灯ともし頃を過ぎたらばゆっくりと晩酌。
かように利用したい。
遠路はるばる出向いて行って
昼のハズレはなんとか耐え忍ぶことができても
夜に肩透かしを食らうと、簡単には立ち直れない。
したがって、初訪問の際には
明るい時間の試し打ちが鉄則なのだ。
ところが前述の冷酒セットの誘惑には抗えず、
意を決して荒川を越えて行ったのだった。

当然、ビールで始めたが
続いての冷酒セットの内容は
まず本日の冷酒が珍しくも千葉の酒・不動。
これに、そば味噌・こんにゃく刺身・
板わさ・鴨肉くんせいが並び、
最後にせいろで締めくくる。

不動は余り特徴のない酒で
これが功を奏したものか、
そば味噌にも鴨肉にも異論をはさむことがない。
ただし、酒肴にこれといって輝きを放つものとてない。
せいろはモッチリとした特有のコシが
歯にからみつつも、押し返すタイプ。
なかなかの噛み締め感を味わえる。
白髪ねぎが丁寧で好感度大であったが
ニセわさびが原点材料。
これなら大根おろしを添えてくれたほうがありがたい。

1杯の不動ではむろん飲み足りない。
2杯目は宮城の浦霞本醸造(525円)。
これを女将さんに上燗でお願いすると
しばらくして奥から店主が現れた。
「すいません、上燗ってどの程度でしょう?」
早いハナシがぬる燗と熱燗の中間なのだが
あまりなじみのある表現ではなかったかもしれない。

ほかにいただいたのは
セットのせいろの前に鴨豆腐(840円)。
鴨ロースと豆腐に加えて
長ねぎ・白菜・えのき・しめじ入り。
これは醸造酒の上燗にはうってつけであった。

やはり冷酒セットの割安感が際立っている。
酒肴類のポーションが小さくなっているものの、
酒・つまみ・そばをそれぞれ単品でお願いすると
2800円を超えてしまうのだから破格といってよい。
往復の電車賃をカバーして余りある。
居酒屋の暖簾ばかりをくぐらずに
こんなに安いのなら、そば屋で飲むべし!

 
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2008年3月14日(金)

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