「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第524回
再び五つ星のとんかつ屋

まだ「おとなの週末」7月号を引きずっている。
根津のとんかつ店「信濃屋」のことだ。
先週の金曜日、519回にはこう書いた。

根津「信濃屋」の五つはどうだろう。
実はJ.C.はこの店でロースやヒレは食べていない。
何を血迷ったか、品書きに
ランプとんかつ(実際はもも肉)というのを見つけ、
迷わず注文して痛い目に合った。
したがって評価不能。

実は昨年11月に上梓した
J.C.オカザワの古き良き東京を食べる」でも
上記のランプとんかつがたたって
選にもれたのだった。

どうにもこうにも気になって仕方なく、
再検証に訪れることになった。
この店はロースカツ定食が昼も夜も
千円札1枚で食べられる。
ランチタイムの特権は小鉢が付くことだ。

地下鉄の階段を上がって、夕闇迫る根津の町。
言問通りを鶯谷に向かって歩くとすぐ右側に店はある。
入店するとサラリーマンが2人でビールを飲んでいる。
こちらもツラレたわけではないが、瓶ビールをお願い。
ガラス張りの冷蔵庫をのぞくと
入っていたのはキリンのラガーだけだったのに
どこから運んできたのかお姉さんは
「サッポロ黒ラベルでいいですか?」
こちとら黒ラベルのほうが好きなものだから
これはうれしい誤算であった。

ビールと一緒に「お通しの肉豆腐です」。
これが結構な量で、これからとんかつを食べるのに
あんまりうれしくないなぁ、と思ってしまう。
おまけに勘定のときにチェックしたら
しっかり250円もチャージされていた。
良心のかけらのない居酒屋でもあるまいし、
とんかつ店としては無粋というか、あざといというか。
こういうのは断れないものかしら。
イタリアンのコペルトのようなものと考えれば、
腹も立たないのだけれど・・・。

ロースカツはちょうどよいサイズ。
厚みはコロモ込みで1.5センチはあるだろう。
肉全体の4分の1程度の脂身が付いている。
うまみに満ちたよいとんかつだ。
カツの上部のコロモの付きがちょっと多いが
シツッコさはほとんどない。

焼き麩・油揚げ・わかめ・三つ葉入りの味噌汁も
上々の仕上がりでレベルが高い。
ごはんは少々柔らかめで残念。
新香は緑色に着色されたきゅうりのキューちゃん風と
たくあんで、これはずいぶんおざなりだ。

トータルで評価すると
「おとなの週末」のおすすめ度五つはやり過ぎで
せいぜい三つがいいところではなかろうか。
前回、ランプでなくロースカツを食べていれば
二百選は難しかったとしても
二百選にあと一歩の優良店入りはじゅうぶん可能とみた。
それほどロースカツのデキはよかった。
それにしてもあのお通しがねぇ、
まだ言ってるよ。


【本日の店舗紹介】
「信濃屋」
 東京都文京区根津2-13-8
 03-3821-4639

 
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2008年7月4日(金)

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