「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第606回
中野で人気の居酒屋なれど

以前は任侠映画がよく掛かる小さな映画館が
あったので出掛ける機会に恵まれたのに
そこが閉館してからは訪れる機会が
めっきり減ってしまった中央線・中野駅。
乗降客数が多い街につき、
飲食店もかなりの数に上る。
駅から北上しようが、南下して行こうが、
フトコロの深さを感じさせるところが
この街を気に入っている理由だ。

「第二力酒蔵」なる街で人気の居酒屋に出掛けた。
北口ではすぐ近くの「陸蒸気」と人気を二分している。
当夜の面子はレストラン評論家のお二方に
出版・映画関係の方が一人ずつ。
J.C.をふくめて計5人と相成った。

予約の際に2階の堀ごたつのテーブルを
勧められたので素直に従ったのだが
これが宴会用の個室。
縦に細長く、20人ほど座れる部屋に
5人だけというのはあまり居心地がよくない。
遊んでる部屋をおっつけられたような気分だ。

まあ、5人だから席はちゃんと
確保しておかねばならないし、
仕方がないとあきらめた。
テーブルにはすでにセッティングがなされ、
大きめの煮物の鉢まで並んでいた。
サイズがサイズだけにそれなりの
お通し料は取られそうだ。
ここにもあざとさを感じてしまう。
みんなで品書きを眺めて注文したのは

 平目薄造り・すずき刺し・しまあじ刺し・赤身刺し・
 かきフライ・野菜サラダ・おから・鯵押し寿司・
 きんき煮付け・真子がれい煮付け

といったところ。
値段は平目2300円、すずき1900円、
かきフライ1050円、きんき3500円で
ボリュームはそこそこあるが、けっして安くはない。
むしろ居酒屋としては強気の価格設定だ。

高価なきんきは1階のショーケースに
並んでいるのを見てきたが色艶がイマイチで
間違ったらゴメンだけど、冷凍の解凍品に見えた。
刺身もけっこうな値段を取るわりに
わさびがニセだから、たとえば浅草はかんのん通りの
「志ぶや」(第591回参照)の足元にも及ばぬことになる。
近所の「陸蒸気」は焼き物主体だから
一概には比べられないが、「陸蒸気」に軍配だろう。

一同、満足感がいま一つの表情を見せている。
飲みものはビールがアサヒ、日本酒は天狗舞、芋焼酎が武蔵。
勘定は一人アタマ、6千5百円になった。
これなら下町の鮨屋のほうがよい。

飲み足らず、食い足らず、
5人はなおも中野の街をさまようのだった。
ブロードウェイの「住友」は早仕舞いをしてしまったし、
結局、落ち着いたのは駅にほど近い「南欧食堂 デルソル」。
ありふれたイタカジュ風の店だったが
そこそこ美味いし、値段も安い。
接客の女性も中野らしからぬ(失礼!)可愛らしさだった。


【本日の店舗紹介】
「第二力酒蔵」
 東京都中野区中野5-32-15
 03-3385-6471

「欧食堂 デルソル」
 東京都中野区中野5-63-5五十嵐ビル2F
 03-3228-7710

 
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2008年10月28日(火)

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