「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第729
恋は小岩と 下手なしゃれ(その2)

坂崎重盛さんの「東京煮込み横丁評判記」を携えて
♪ 恋は小岩 ♪ の小岩駅に到着。
藤圭子の唄った「はしご酒」を
今夜は地でいくつもりである。
1軒や2軒では終わらんぞ!
そう意気込んで出掛けたのだった。

わたしの記憶が確かならば、
小岩で酒を飲んだ覚えは金輪際ない。
お隣りの新小岩や市川、あるいは高砂や柴又には
再三再四、出没しているにもかかわらずである。
この町で最後に食べたのは2000年9月。
界隈では評判の「三五郎」なる中華そば店だった。
老店主が丁寧に作ってくれたラーメンが懐かしい。
その年の7月には、やはり小岩の「満天」で
揚げねぎラーメンを食べている。
3ヶ月の間に2度も訪れているのに
それから9年近くもご無沙汰することになろうとは。
9年はけして短い年月ではなかった。
その証拠に「三五郎」も「満天」もすでに消えている。

今宵の相方はつい先日、
渋谷の「八竹亭」(724回参照)でご一緒した
酒をあまり飲めないY子さんである。
その折に話題が小岩探訪にまで及び、
案内役を仰せつけられたのだった。
「いいでしょう、いいでしょう、ご案内しましょう」
と相成った次第である。

待ち合わせは駅の改札を出た突き当り。
往年の大横綱・栃錦のスタチュー前にした。
老爺心ながらの重盛さんのサジェスチョンに
素直に従ったのである。
ちなみに栃錦はこの町の出身。

1軒目は「立呑み処 くら」。
駅の南口を出ると徒歩1分の地蔵通りにあった。
さっそくのビールはキリン一番搾りの中瓶だ。
Y子さんにもトクトクと1杯だけ注ぐ。
ここで接客のオバちゃん曰く、
「チケットのほうがおトクですよ」。
訊けば500円を支払うと、
550円分の食券をくれるという寸法。
うなずいて2千円を支払う。

もつ煮込み(300円)はちょいと甘めながらまずまず。
もつ焼きはハツ・シロ・レバ・カシラの4本で500円。
これはどうということもない。
あとは小松菜ひたしとポテトサラダ(各150円)だ。
両者には別に何の特徴もない。
気にも染まない小松菜を頼んだのは
この菜っ葉の原産地だか、特産地だかが
小岩と同じ江戸川区の小松川だからである。

Y子さんが所望したまぐろのアゴ焼きは
卓に運ばれた瞬間、プンと匂った。
これは鮮度か血合い、あるいはその両方の問題だ。
黒ホッピーに切り替えたJ.C.は尻込みしたが
彼女は意に介さずパクパクやっている。
こちらは唖然となり、呆然と立ち尽くすばかり。

 この顔で まぐアゴ喰うかや 夕すずめ

           =つづく=


【本日の店舗紹介】
「立呑み処くら 小岩南口店」
 東京都江戸川区南小岩7-26-5
 03-3658-3320

 
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2009年4月20日(月)

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