「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1034回
友あり、遠方より来る(その2)

真ん中にW杯ネタを2回もはさんだため、
遅ればせながら木曜日の続き

北区・十条駅前の「斎藤酒場」で一献(いっこん)後、
近所の大衆食堂「天将」で同じ4人が乾杯している。
一同、額(ひたい)を集めて評議の結果、
まぐろ刺身・とんかつ(上)・ウインナー炒め・
スパゲッティナポリタン・オムライスなどを
立て続けに注文したところだ。

J.C.は大衆酒場に限らず、大衆食堂で飲むのもまた大好き。
昼は当然のことに食事主体となるが
夜は食堂であっても晩酌が第一の目的となる。
幼い頃からこういう場所に出入りしているので
ノスタルジックな思いにかられるし、
人々の日々の生活にふれ、温もりを感じる喜びもある。

ホッピーのジョッキを傾けているうちに
料理がドンドン運ばれて来た。

揚げパン粉のカスが“炒め”ではない証拠
photo by J.C.Okazawa

子どものときにご馳走だった赤ウインナーは
大人になった今もときどきこれでビールが飲みたくなる。
いつの頃からか、薄紅色の粗挽きが市場を席巻しちまったが
そんな流行には背を向けるスタンスを貫いている。
赤ウインナーを中傷することは
おのれの幼年時代を否定することだ。

「天将」で腹ごしらえを済ませ、
3軒目は赤羽駅乗換えで王子へ。
1度北上して南下する逆V字形の電車移動である。
目指したのは王子随一の飲み処「山田屋」。
友人のエッセイスト・坂崎重盛翁をして
「体育館にテーブルを並べて飲んでいるような気分」――
そう言わしめた大型店舗だ。
辛うじて入口に一番近い卓が1つだけ空いていた。

今が季節のほたるいかと名物のあじ酢(これがイチ推し)、
それに酒場では定番中の定番の煮込みを注文。
飲みものは再び瓶ビールに回帰している。
天井が高いおかげで人々のざわめきが直接的雑音にならず、
BGMの役割をはたして居心地がとてもよい。
気に入りのビヤホール「銀座ライオン七丁目店」ほどでは
ないにせよ、高い天井の大箱で飲むビールは最高だ。
これが日本酒や洋酒となると、どうもシックリこない。

夜は更けた。
一同、飲み疲れもした。
真っ当な人種ならこのあたりでお開きとなるのだが
まだまだ元気な埼玉県民が約1名。
彼の提案により鶯谷へ繰り出すことに――。
京浜東北線一本なので、まあ便利といえば便利ではある。
分け入ったのは奇妙奇天烈なスナック、
「よ〜かんちゃん」であった。

店主の宮田羊かんチャンは以前、
松鶴家千とせと漫才コンビを組んでいた人。
とんでもなく変わった店で店内のドハデな電飾のもと、
羊かんチャンの繰り出すワンマンショーはまさに抱腹絶倒。
“宮内庁御用無”ながら“中村勘三郎御用達”の金看板。
奇人変人、珍店妙店に心惹かれる方が
遠路はるばる出掛けてみても
絶対に損をすることはございません。


【本日の店舗紹介】その1
「天将」
 東京都北区上十条2-24-12
 03-3906-6421

【本日の店舗紹介】その2
「山田屋」
 東京都北区王子1-19-6
 03-3911-2652

【本日の店舗紹介】その3
「よ〜かんちゃん」
 東京都台東区根岸1-2-12
 03-3875-1511

 
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2010年6月22日(火)

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