第1069回
鮎があるうちに
TBSラジオ平日朝の「森本毅郎スタンバイ!」は
長寿にして人気の看板番組である。
ニューヨーク時代には朝一のコーナー、
「ウォールストリート情報」に現地から
電話をつないで出演していた。
東京の月曜朝はニューヨークの日曜夕方につき、
火曜から金曜まで4人が持ち回るシステム。
J.C.は毎週水曜日の担当だった。
ダイアリーをめくって出演回数をチェックしてみたら
番組の始まった‘91年4月から
離乳ならぬ“離紐”間際の‘97年9月まで計282回の出演。
ずいぶんとお世話になったものである。
帰国後も木曜夜の「アクセス」に3年ほど電話出演したから
TBSには縁、浅からぬものを感じる。
当時のスタジオのお相手はめまぐるしく替わったものの、
蓮舫・山本モナ・渡辺真理と
今にしてみれば、そうそうたる顔ぶれが並んでいる。
またなんで古いハナシを持ち出したかというと、
ニューヨークの出演者と東京のディレクターとの
リユニオン(同窓会)のリポートなのである。
3ヶ月に1度の開催は今回が数えて4回目。
集まったのは深川は清澄の「天竜」である。
1年前に「第3回下町を食べる会」を開催した佳店だ。
料理の写真は、特に鮎の写真は
第803&804回を参照されたい。
♪ 夏になれば思い出す 近くの天竜 美味い鮎 ♪
何てったって店の大将の生まれ故郷、天竜川の天然鮎である。
面立ちが違う、香りが違う、味わいが違う。
ざるに上げられた焼かれる直前の鮎の香りを一同、
嗅がせていただいた。
俗にいう西瓜の香りが本当にするのだ。
香魚といわれる所以である。
メンバーのフタちゃんなんぞ、
嗅ぎすぎて鼻先に鮎をぶつけちゃったくらい。
当夜は刺身も特筆だった。
目の前の1人前は小さな宝石箱の如し。
つまびらかにすると
こち・真子がれい・新子・さんま・あじ・
いか・かつお・中とろ・青柳である。
しかも鮫皮のおろし板でおろしたばかりの生わさびが
ネットリのタップリだから、こたえられませんなァ。
鮎の塩焼きと炊き込みごはんは今年も申し分なし。
とりわけ鮎めしは現在の真夏の東京で
食することのできる“ごはん”の中では
もっとも美味なるものと太鼓判を捺したい。
リユニオンからまだ1週間も経たぬうちに
緊急リポートに及んだのにはちゃあんとワケがある。
何となれば、ボヤボヤしているうちに
鮎の季節が終わってしまうからだ。
まだ鮎があるうちに!
そしてまだ愛があるうちに!
常日頃、お世話になっている奥さんを
ぜひ、連れて行って上げてください。
【本日の店舗紹介】
「天竜」
東京都江東区清澄3-3-28
03-3630-8850
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