第1097回
かつてこの町は池袋より栄えていた(その3)
昭和33年の味を守り続ける「千通食堂」を訪れた1週間後、
またまたやって来た大塚の町。
この日は「江戸一」と肩を並べる当地の気に入り店、
焼きとんの「富久晴」を皮切りにハシゴである。
予定では3軒めぐるつもりで
一箇所での牛飲馬食は厳に慎まなければならない。
ビール大瓶に焼きとんはカシラ・ハツ・コブクロ(以上塩)・
レバ・シロ(以上タレ)の計5本にとどめておく。
ここの串は小ぶりにつき、
小食の人でも10本くらいはイケちゃうところをあえて抑制。
客に注文品を何度も聞き返しつつ、串を焼く店主は相変わらず。
それを横目にニヤニヤしながら楽しいひとときを過ごす。
先を急ごう。
2軒目は「洋食GOTOO」。
敗戦直後にはヤミ市でも立っていたのだろうか、
駅南側のゴチャゴチャした一郭に店を構えている。
角地にあってそこそこ目立ち、立地条件はよい。
フードダイアリーをチェックすると
前回の訪問は8年前のGWであった。
ビールの中瓶をお願いして
各350円の海老フライとポテトコロッケを注文。
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この1皿は700円のハズ
photo by J.C.Okazawa
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海老がちょいと貧相だ。
尻っぽにまでパン粉をつけると余計に間が抜けて見える。
カウンター席の居心地が悪く、飲んで食べたら早々にお勘定。
すると請求額が1550円で、少々高いなと思いつつも精算する。
ビールが550円だから写真の1皿は1000円の計算になる。
300円の誤差はいったいどこから生じたのであろうか。
疑問がわいたのは店を出てからで問責に戻る気にもなれず、
結局、思い当たるのは皿の上の脇役陣。
千切りキャベツ、マカロニサラダ・カットレモン・
タルタルソースがセットで300円ということくらい。
いかにも不明瞭な会計である。
これなら北口の「ABC北大塚店」に
行ったほうがずっとよい(第1095回参照)。
大した問題ではないので気を取り直して3軒目。
山手線のガードをくぐり、北口駅前の「一文字」へ。
大塚では名の通ったそば屋は今回が初訪問だ。
それなりの期待もあったが、事前調査の評判は芳しくない。
先客皆無の店内はどこか垢抜けない感じ。
下町風のチャキチャキッとした活気もなければ、
日本そば屋特有の凛とした佇まいもない。
どこか崩れ民芸調とでもいったようなやぼったさが漂う。
この時点で期待は失望に変わった。
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品書きをパラリとめくる
photo by J.C.Okazawa
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ラインナップはけして悪くはないが
三色彩りの山菜・揚玉・若布はないだろう。
ダサッ!!
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ぬか漬とさつま揚は自家製
photo by J.C.Okazawa
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ところが味海苔(210円)を見つけてカックン。
どこに味付け海苔を出すそば屋があるんだよ!
利き酒セットや熟成古酒を揃え、
活〆穴子天や野生真鴨のせいろを品書きに載せていながら
これじゃすべてブチ壊しだ。
呆れながらも一番無難なせいろを注文
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海苔と薬味がまたダサいこと
photo by J.C.Okazawa
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わさびは案の定ニセワサで、つゆは下世話に甘く、
そばは立ち食いそば屋に毛の生えた程度。
世の中万事がそうだけど、
食べ物商売におけるセンスレスは真に命取りですな。
=おわり=
【本日の店舗紹介】その1
「富久晴」
東京都豊島区南大塚2-44-6
03-3941-6794
【本日の店舗紹介】その2
「洋食GOTOO」
東京都豊島区南大塚3-54-1
03-3983-0613
【本日の店舗紹介】その3
「一文字」
東京都豊島区北大塚2-14-2
03-3910-5820
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