第154回
年29.2%を超える金利を約束した借入金は
返済する必要がありません。

先週の宿題は
闇金とか090金融とかよくテレビで取り上げられています。
10日で2割(年730%)の利息を支払う約束で
2万円を借りた場合、元本の2万円自体は返す必要がある。
○でしょうか? ×でしょうか?

答えは×です。

以前、第18回で、貸金業者が
年利29.2%を超える利息を取ることは
出資法という法律に違反し犯罪になるという説明をしました。

宿題の10日で2割の利息を支払う契約は、犯罪なのです。
これもまた、以前、第47回で説明したように、
犯罪を目的とするなど「公序良俗」に違反する契約は
民法90条に違反して無効です。
だから、10日で2割の利息を約束しても、契約は無効ですから、
約束どおり、利息や元本を返還する必要はないのです。

普通、契約が無効だと、
そもそも最初に渡された2万円を
もっている理由がなくなるので、
これだけは返さなければならなくなります。
これを「不当利得返還請求権」と言います。
でも、第59回で説明したように
法律は違法な契約は応援しないために
「不法原因給付」は返還を求められません。
だから、闇金融や090金融が
10日で2割の約束で2万円を貸したとしても、
借主は法律上全く返還義務を負わないのです。
要するに、この理屈で対抗されると
闇金融や090金融は利息はおろか元本についても
全く返してもらえないのですから丸損です。

東京の3つの弁護士会は、
借金の整理について統一の処理基準を設定し、
闇金融や090金融から
出資法に違反した金利で借り入れた場合には
元本も含めて全く返還しない方針で借金を整理するよう
各弁護士に通知しています。
だから、きちんとその基準に従って借金の整理を行なう弁護士は、
闇金融や090金融には全く返済しません。

これに対し、非弁提携弁護士は、
闇金融や090金融といった貸金業者との交渉は、
怖いし面倒なので、言いなりに支払ってしまったり、
依頼者である債務者に交渉を任せてしまったりします。
こういう点でも、
非弁提携弁護士に借金の整理を依頼してしまうと、
損をしてしまうのです。


■今週の宿題■
これも読者からの質問です。
定期借家契約でない普通の建物賃貸借契約では、
貸主に正当事由がなければ契約は
法律によって更新されていくのだから、
契約に更新料が定められていても更新料を支払う必要はない。
でしょうか? ×でしょうか?

お答えをお待ちしております。


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2003年4月14日(月)

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