第240回
続・ハイハイ天さん、天さんデス(Part2)
ペンネーム「はんぺん」さんからの鑑定依頼二品目です。
○依頼品 白磁三足皿 (高さ7cm直径16cm)
 |
鈞窯作品によくある器形に類似している
しかも白釉なのが珍しい
古陶磁器である事は間違いないが、
そんなに古いとも思えない
清時代の雑器か? |
 |
器底には5つの目跡
たまたま白く発色してしまった(?)
月白釉の鈞窯作品の可能性もある |
○鑑定結果
今回依頼のあった二品のうち、
私が興味を持ったのはこちらの品の方です。
何故なら、第230回で紹介した
「一部鈞窯作品の製作年代について新解釈」
に少し関係しているからです。
それまで、宋時代の作品とされていた
一部鈞窯作品(下の画像のような作品群)が
近年の発掘調査と研究で
実は明時代後期まで遡るという結論に達しました。
しかし、発掘調査で真相が明らかになる以前も、
この手の鈞窯作品については
「宋時代には同形の造作物がない」という理由から、
「これらの作品は宋時代のものではなく
もっと時代が新しいものではないか」
という説も有力視されていました。
そこで依頼品ですが、
現物を手にとって質感や古色などを見れば
少しは分るかもしれませんが、
私は今までこれと同じような焼き物を見た事がないので
正直いつどこで焼かれたかについては殆ど分りません。
あくまでも推定になりますが、
同型の鈞窯作品が明時代後期の作とすれば、
その雰囲気を模して更に後年焼かれたものではないでしょうか?
一見古く見えますが、
私の感覚では明〜清時代に
河南省一帯の民間窯で焼かれた庶民的な雑器だと思います。
陶磁器造形変遷の研究材料としては面白いものですが、
金銭的価値となると
こういう雑器はやはりそれぼと高いものではありません。
 |
 |
依頼品と同型の鈞窯作品
この手の鈞窯作品については、
以前までの宋時代説が覆され、
明時代の作品と結論づけられた。
基本的には過去の青銅器の形を模したと思われるが、
宋時代にはこれに類した造作物が見当たらない。 |
○結論
このような、
「よく分からん焼き物」の鑑定を依頼しないように・・
|