中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第241回
まぁ、たかられるわ、たかられるわ 1

今回も中国料理の番外編です。

先日のコラムで少し前の時代の中国式経営手法は
日本人には理解しがたいものだという話をしましたが、
今回は中国で実際にレストランを経営してみると、
日々どういった事が起こるのかについて具体的に書いてみます。

ただし、この話はあくまでも私の個人的な体験談ですので、
中国の全てを表しているものではございません。

まず私が一番最初に戸惑った事は
「商売を成功させる為に何が重要か?」という視点において、
中国人幹部と私の意見が全く噛み合わなかった事です。
反対の意見とかじゃなく、全く噛み合わないのです。

例えば、私は開店準備段階での会議などで
「料理はどうすべきか?」「接客教育はどうするか?」
「内装で他店との差別化を図れないか?」など、
店の発展に繋がる事について熱く語る訳ですが、
一同は全く無視です。

無視と言うか、
私の話を聞いても皆キョトンとしています。

実は後々分った事ですが、
そういう経営努力については、
誰一人として全く重要だとは思っていなかったのです。

なぜ重要じゃないかと言えば、
すでにその辺の事は中国側からすれば
すでに決定済み事項だったからです。

しかも、その決定は10秒ほどで為されたと聞きました。
つまり、店の具体的な経営方針としては
「流行っている他店をそのまま真似すれば良い」
という事でハイ終了です。

ウソみたいな話ですが、本当にこんな調子だったのです。
では、当時の中国において個人が商売していく上で
一番大切な事はどんな事だと皆様は思われますか?

ちょっと中国を知っている人は「立地条件」だとか
「特別な顧客が見込まれる事」などと言うかも知れませんが、
そういう事もあくまで付属的な事項です。

実は、中国で商売する上で一番肝心な事、
と言うか大前提は「店を潰されない事」です。

店が潰されれば、
料理も接客も立地もあったもんじゃございません。

逆説的に言えば「店を潰されない事」が
中国で商売をしていく大前提だとすると、
中国には店を潰しにかかる奴等がウヨウヨしているという事です。

そういう奴等から店を守る為、
中国人経営陣はレストラン自体の経営など放ったらかして、
日夜奮闘し続けなければならないのです。

では「店を潰しにかかる奴等」とはどんな悪い奴なのでしょう?
あれこれといちゃもんをつけ、
ヤクザまがいの脅しで金銭をたかるような奴でしょうか?
大人数で無銭飲食を繰り返す奴でしょうか?

いえ、そういう人もたまにはいましたが、
本当に我々が恐れていたのは
そんな簡単な奴等ではありませんでした。

次回(来週月曜日)に続きます。

私が北京で経営していたレストラン(95年9月撮影)
唯一、私の意見が取り入れられた大型ゲート
丸い部分の龍のキャラクターも私がデザインした
当時は大人気で外まで客が溢れていた
 
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2009年4月24日(金)

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